猫の便秘対策と予防について
意外に知られていませんが、猫は便秘になりやすい動物です。
もともと水分をあまり多くとらない猫は、うんちが硬くなりやすく便秘になりやすいと言われています。
犬は下痢が多く猫は便秘になりやすいという話もよく聞きます。
特に年を取ってくると便秘になりやすくなる猫が多いようです。
猫が便秘になった場合は、当然動物病院で診てもらうことが確実ですが、猫の便秘での動物病院受診の目安や、病院以外で自宅でできる猫の便秘対策もいくつかありますのでまとめてみました。
目次
猫のうんちが何日出ないと便秘?
そもそも猫の便秘は何日くらい出ないと便秘なのでしょうか?
基本的に猫が丸2日、排便をしていない、または便が毎日出ていてもウサギの糞のように、硬くて小さいコロコロした便であれば、便秘状態になっている可能性が高いです。
とはいえ、2日に1回程度の頻度でうんちを出していても体調面に問題がない猫も比較的多くいます。
人間でも便秘ではあるものの、病院に行ったり薬を飲むほど出ないないという場合もあるように、2日出ないからといってすぐに猫を動物病院に連れていく必要があるかと言われるとちょっと疑問です。
では、猫の便秘の動物病院受診目安は何日くらいうんちが出ていない場合でしょうか。
これは、もちろん猫の状態にもよりますが、動物病院受診の目安は丸3日うんちが出ていない場合が目安だと感じています。
(当然これは獣医師さんによっても意見が分かれるのでかかりつけの獣医師さんのアドバイスを参考にしてください。)
また、5日以上出ない場合はすぐにでも動物病院を受診することを強くおすすめします。
もちろん、猫がぐったりしたり、何度も吐いたり、激しく痛がったりする場合はうんちの出ていない日数に関わらずすぐに動物病院を受診するべきです。
猫のうんち、おしっこの回数目安は別記事でまとめていますので、こちらも参考までにどうぞ!
参考記事成猫のおしっこ・うんち、トイレの回数目安
猫が便秘になっている時の症状・サイン
猫が便秘になっている場合のうんちの回数目安については上記まとめましたが、うんちの回数以外で猫が便秘かどうかをチェックする際の症状やサインについてもまとめておきます。
- 1日に何度もトイレに行く
- お腹を触られるのを嫌がるまたは痛がる
- ぐったりして元気がない
- うんちがウサギの糞のようにコロコロと小さい
- うんちが細長い
- 排便しようと力んでいるが出ない
- うんちが細長い
- 水のような下痢をする
- 嘔吐回数が多い/排便時に嘔吐する
- 排便時に大きな声で鳴くことがある
1日何度もトイレに行く場合は、もしかしたらうんちではなくおしっこが出ない(膀胱炎など)の可能性もありますので、おしっこが出ているかどうかもしっかりチェックする必要があります。
お腹を触られて痛がったり、ぐったりしている場合は重大な病気が隠れている可能性もありますので要注意です。またお腹については、腹部を圧迫すると猫が危険な状態になる場合もあるので、お腹を触られて嫌がる場合はむやみに触らない方が良いときもあります。
水のような下痢は一見便秘と相反する症状に見えますが、「奇異性下痢」と言って、強度の便秘で閉塞した腸内で圧力が高まって起こる下痢です。腸内の水分や粘液などが、固まってしまった便の隙間を通りすぎて排出されるために便秘なのに下痢が出るという症状です。
また、便秘時はトイレに座って排便するために力いっぱいいきむため、吐いてしまう猫も多くいます。そのためトイレの周りや中に吐いた跡を見つけたら便秘で苦しんでいる可能性があります。
また、トイレに座って大きな声で鳴いている場合もうんちが出なくて鳴いている可能性があります。(おしっこが出なくて鳴くこともあります。)
上記のような症状は便秘以外の時の猫の体調不良でも起こりえますが、うんちが2~3日出ていないことに加え上記のような症状があれば便秘を疑って家庭でできる便秘対策をしたり、動物病院を受診することをおすすめします。
猫の便秘の原因は?
そもそも猫の便秘の原因は何でしょうか?
冒頭にも書いたように、もともと水分をあまり多くとらない猫は、うんちが硬くなりやすく便秘になりやすい動物ではあります。
とはいえ、他にも猫が便秘になる原因はいくつかありますのでまとめてみました。
- 水をあまり飲まないため便が硬くなる
- ストレス
- 内臓機能の低下
- 高齢化
- 肥満
- 抜け毛を飲み込むため
- 排便時に痛みを感じるため
- 病気などで結腸が閉塞している
- 薬物性(医療性便秘)
- 遺伝性や骨格異常
元々水をあまり多くとらない猫ですが、猫によってはほとんど水を飲まず、食事からの水分だけで済ましてしまう子も時々います。
また、来客が多かったり、他の猫が増えたりすることでストレスを感じ排便を我慢してしまい便秘に繋がることもあります。
内臓機能の低下は猫の高齢化とも関係していますが、他の病気によって内臓機能が低下している場合も便秘になる可能性があります。
特に便秘は10歳を超えたころから増えてくる印象がありますので、高齢化により筋肉が衰えたり、内臓機能が低下、運動量が低下することで便秘に繋がります。
また、若い猫でも肥満状態の猫は便秘になる子が多いです。
便秘と言うよりも病気で結腸が閉塞してしまっている場合(巨大結腸症など)も便秘の原因として考えられます。巨大結腸症は若い雄猫に起こりやすい病気です。
また、持病で投薬している猫の場合飲んでいる薬の副作用で便秘になることもあります。
例えば、一例ですが鎮痛剤やスクラルファート、抗コリン剤、制酸剤、利尿剤などの副作用で便秘になる可能性もあります。
その他、遺伝性のものや骨格異常により便秘の原因となることも。
マンクスは生まれつきしっぽがない猫種ですが、尾骨の形が先天的に異常を起こしているので、便秘になりやすい傾向がある猫種です。
また耳折れで人気のあるスコティッシュフォールドも骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)という病気にかかりやすい猫種ですが、仮に排便を妨げるような形で骨軟骨異形成症の症状が現れると便秘に繋がるかもしれません。(スコティッシュが便秘になりやすいという研究データはありません。あくまで管理人の経験からの意見です。)
便秘になりやすい猫の特徴
人間もそうですが、猫も便秘になると苦しいです。
大切な猫が便秘で苦しむことが無い様に、予防することが大事ですが、便秘になりやすい猫の特徴も知っておくと、うちの子は便秘になりやすいと意識できるかもしれません。
- 10歳以上の高齢猫
- 運動不足で肥満の猫
- 飲水量が日常的に少ない猫
- 多頭飼いでストレスを感じている猫
- 抗生物質など日常的に投薬している猫
- 長毛の猫
上記のような特徴が重なると特に便秘になりやすいと感じています。
(長毛種は毛を飲み込むことが便秘に繋がることもありますので入れていますが、長毛種が便秘になりやすいという医学的なデータは今のところありません。)
家庭でできる猫の便秘対策(初期の便秘の場合)
猫の便秘がひどい場合は当然動物病院での受診がベストですが、その前の便秘の初期の段階や猫の便秘予防も家庭でできる対策がいくつかありますのでまとめてみました。
- 繊維質の多いキャットフードに変える
- 食事に食物繊維多めの食材を混ぜる
- オリーブオイルを与える(極少量)
- 猫に水分をとらせる工夫をする
- 猫の便秘マッサージ・ツボ
- 猫の便秘対策サプリメントを与える
- 毛玉対策
繊維質の多いキャットフードに変える
まず一番簡単にできる猫の便秘対策はキャットフードを便秘対策のもの(繊維質が多いもの)に変えることです。
キャットフードを変える時は、一度に全部を突然変えるのではなく、今食べているキャットフードに少しづつ混ぜてから切り替えます。
また、猫のうんちの様子を見ながら、便秘対策用キャットフードのみではなく、今食べているキャットフードとブレンドして愛猫にちょうど良い割合を探っていくのがおすすめです。
便秘対策用のキャットフードは以下のものがおすすめかつ人気があります。
amazonロイヤルカナン 療法食 消化器サポート可溶性繊維 ドライ 猫用 2kg
私がお世話したことのある便秘対策中の猫さんで最も多いのが、このロイヤルカナンの可用性繊維のドライフードを食べています。
このフードを食べている猫のうんちはソーセージのような形で繊維質のシワが出る特徴的な便がでるのですぐにわかります。
与え過ぎると下痢になるため量の調節が必要ですが、便秘対策キャットフードとしてはかなり効果が高いものですので、動物病院などでも便秘の場合はまずはこちらのキャットフードをお勧めされることが多いと思います。
また、ドライフード(カリカリ)のみを食べている猫の場合は、1食分はウェットフードに切り替えて摂取する水分量が増えるようにしてあげることも有効です。
食事に食物繊維多めの食材を混ぜる
例えば現在あげているキャットフードにサツマイモを蒸かしてすり潰したものを加えたり、スープ状にしてみたり、オリゴ糖や市販の食物繊維を缶詰やパウチのキャットフードに混ぜたりするという方法もあります。
もちろん猫が食べてくれればという前提条件がありますが、もしご飯の選り好みをせずに食べてくれる場合は上記のような対策も猫の便秘対策には有効です。
オリーブオイルを与える(極少量)
自宅でできる猫の便秘対策として、オリーブオイルをスプーン1杯程度を猫に直接舐めさせるという方法も比較的メジャーな対策です。
ただし、猫が好んでオリーブオイルを舐めてくれれば良いのですが、飲んでくれない場合などは直接口に投与したり、フードに混ぜてだましだまし与える必要があるため、猫の好みによっては難しい場合もあります。
また個人的にはそこまで効果を感じたことが無い対策です。
オリーブオイル以外では、サラダオイルやバター、ツナ缶などのフィッシュオイルを極少量(1日にティースプーン1杯)与える方法もありますが、塩分量などが気になるため与え過ぎには要注意です。
数日~1週間対策をしても変わらないようであれば、他の対策を考えた方が無難です。
猫の便秘マッサージ・ツボ
猫とスキンシップしながらできる便秘対策には、マッサージや便秘のツボ押しがあります。
便秘マッサージは、お腹を優しく「の」の字に回しながら撫でてあげることで、便の排出を促すことができます。(人間と同じですね。)
猫の便秘のツボについては、
●次髎(じりょう)=背中の中央よりやや尻尾よりの部分。
●尾端(びたん)=尻尾の先端の部分。
が便秘に効くツボとして知られています。細かいツボの場所はまた追記する予定です。
便秘対策サプリメントを与える
特にサイリウムは便秘や下痢に効果が高いと聞くことが多いです。
サイリウムはオオバコ科の植物プランタゴ・オバタの種皮由来の食物繊維です。実はロイヤルカナン消化器サポート可溶性繊維のフードにも含まれています。粉状のサプリメントは猫のご飯に混ぜやすく味も変化しないので猫に与えやすい便秘対策サプリメントです。
気を付ける点は、サイリウムと一緒に、充分な水分を摂取すること。充分な水分量が得られないと、腸内の水分が過度に取られてしまい、胃腸障害を起こす可能性があります。
水分量の多いフードと一緒に与えたり、新鮮なお水をしっかり用意してあげることが大事です。
サイリウムは人間用のものでも大丈夫です。
※サプリメントを継続して長期間与える場合は獣医さんなどに相談の上与えることをお勧めします。
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毛玉対策をする
グルーミング時に飲み込んでしまった、毛がお腹の中で毛玉となり、その毛玉を上手く吐きだせないために便秘に繋がっているということもあります。毛玉対策はこまめなブラッシングが一番です。
特に長毛の猫や、短毛でも普段から毛玉を吐きやすい猫は、毛玉が原因の便秘の可能性もありますので、こまめにブラッシングしてあげましょう。
猫の便秘時の病院での対応
家庭での猫の便秘予防や便秘解消法を試してなかなか便秘が解消しない場合や重度の便秘の場合は、動物病院への早目の受診がおすすめです。
参考までに、動物病院では猫の便秘にどういった対応がなされるかも簡単に書いておきますね。
とはいえ、動物病院よって方針が異なる可能性がありますので、詳しく知りたい方は最寄りの動物病院に問合せるのが一番です。
例えば、便秘の場合腸が水分を上手く吸収できなくなったり、腹部の圧迫により吐くことも多くなりますので猫が脱水状態になりやすいです。そのため便秘の猫に点滴や皮下注射による輸液を行う場合があります。
また、便を柔らかくするお薬や腸管刺激剤といった内科療法が優先的に行われることが多いです。
例えばモニラックといったシロップ剤です。
お薬で改善が見られないような頑固な便秘や、緊急性の高い便秘には浣腸や摘便といった対応がとられます。
ただし浣腸は脱水が進む可能性がったり、処置の際にも猫の腸に傷をつけるといった可能性があるため、お薬や輸液が優先されることが多いように感じています。
また人間用の浣腸をを安易に猫に使うのは絶対にやめましょう。
摘便は、浣腸でも出ない場合の最終的な処置です。
直接肛門から便を掻き出す治療です。ご想像の通り猫もかなりのストレスになりますので猫への負担は大きいです。場合によっては麻酔が必要になることもありますし、腸管に傷がつくリスクもあるため、処置後に細菌感染予防のため抗生剤を処方されることが多いです。
以上、猫の便秘対策と予防についての情報をまとめてみました。
日ごろから猫の便の状態をチェックして、猫が便秘で苦しまないようにしてあげたいですね!