猫の毛玉対策、バリカンで刈る方法や上手に吐かせる方法など
猫と暮らしているご家族が抱える悩みで多いのが「猫の毛玉対策」です。
短毛種の場合は、身体の表面に毛玉はできにくいものの、毛づくろいで舐めた毛がお腹に溜まり毛玉として頻繁に吐いてしまうこともあります。更にお腹の中に毛玉が溜まって毛玉症という症状になると事態は深刻です。
長毛種の場合は更に、身体に鎧のように毛玉の塊ができていまい、猫の見た目や日常生活に支障をきたすことがあります。
そんな猫の毛玉対策について、毛玉を作りにくくする対策、上手に毛玉を吐かせる対策、身体の表面にしっかり固まってできてしまった毛玉の塊をバリカンで刈る対策などまとめました。
目次
猫の毛玉について
猫と暮らしているご家族の多くは、猫が毛玉の塊を吐いている姿を見たことがあるかと思います。
もしくは、猫のうんちに毛がたくさん入っている様子を見たことがあるかもしれません。
特に長毛種の猫はブラッシングを怠ると、胸元やお腹お尻付近、などにフェルトの塊(手芸などをやっている方はご存じの羊毛フェルトの塊のようなもの)のような毛玉の塊ができて、簡単には取れないくらいカチカチになってしまうこともあります。
そうなってくると、猫は自身の身体を自分でグルーミングすることが難しくなり、身体を清潔に保てなくなってしまいます。
更に、毛をたくさん飲み込み身体の中で毛玉ができると、その毛を吐きだすために吐くことに繋がります。
吐いてくれる分には問題ないのですが、中には毛玉を吐くことができずに毛玉症となってしまうと、猫の胃腸に影響し体調を崩してしまうので注意が必要です。
海外の例ですが、毛玉が絡まりすぎて大変なことになった猫ちゃんの例もあります。
こちらの猫さんは、毛玉が絡まりすぎて体長よりも大きな毛玉ができてしまっています。
パッと見ると猫とわからないほどの毛玉になっています。
最終的には保護され、動物病院できれいに毛玉を刈ってもらえた猫さんですが、毛玉ができやすい子のケアを怠ると大変なことになる可能性もあることがわかります。(とはいえ、ここまで毛玉が絡まって大きくなってしまう例はかなり稀なケースだと思います。)
Posted by the Animal Rescue League Shelter & Rescue Center
参考サイトhttp://www.animalrescue.org/
猫は毛玉ができやすい
猫に毛玉ができやすい理由は、猫の毛の形と、皮膚の性質に理由があります。
猫の毛は毛根から先に向かってささくれのような形状になっているものがあり、毛同士がこすれたりすることで毛玉状に絡まっていきます。
また猫の皮膚は、油分や体臭を作るニオイのある汗腺(アポクリン汗腺)が多く、アポクリン汗腺から出る分泌分(油分)が毛同士をくっつけやすく、毛同士を絡ませやすくしてしまいます。
毛玉ができやすい猫のタイプ
とはいえ、毛玉のできやすさには個体差があり、全くブラッシングやお風呂でのケアをしなくても毛玉ができな子もいれば、こまめにブラッシングなどのケアをしていても毛玉ができやすいタイプの猫もいます。
毛玉ができやすタイプの猫は以下の通りです。
- 長毛種の猫
- 老猫
- 皮膚にトラブルのある猫
- 皮脂がべたつきがちの猫
長毛種の猫は当然毛が長いので毛が絡まりやすく、毛玉もできやすいです。
また、年をとって自分でこまめにグルーミングすることが難しくなった老猫さんも毛玉ができやすくなってきます。皮膚に何らかのトラブルがある猫さんも毛玉ができやすくなる可能性が高いです。
長毛種ではなく、短毛種の猫は基本的に毛玉をよく吐く子はいても、身体に毛玉が固まる子は少数ですが、特にしっぽの根元がべたつきやすい子など、皮脂の分泌が多めなタイプの猫は毛玉が身体の表面にもできやすいタイプの猫もいます。
長毛、短毛関係なく、自身の猫さんの毛の状態をしっかりチェックして、適切なケアが必要をしてあげることが必要ですね。
以降からはブラッシングなどの猫の毛玉対策のケアをまとめています。
毛玉対策の優先事項ナンバー1はこまめなブラッシング!!
毛玉対策でまず取り組むべきは、こまめなブラッシングです。
特に長毛種の猫でもブラッシングをしっかりしておけば、毛玉ができることをかなりの確率で防げます。
猫用の毛玉対策ブラッシングアイテムにはいくつか種類がありますが、長毛種の猫の場合は
「スリッカーブラシ」、「ピンブラシ」、「獣毛ブラシ」などがおすすめです。
例えばこちらはスリッカーブラシで長毛種の猫のブラッシングに向いています。
スリッカーブラシは毎日のブラッシングというよりは、少し絡まってしまった長い毛をブラッシングでとかしてあげる使い方がおすすめです。
長毛種の猫で毛が絡まってきている部分を見つけたらその部分にスリッカーブラシをかけてあげると良いでしょう。
日常的にはピンブラシや獣毛ブラシなどで、全体的にブラッシングしてあげるとより長毛種の猫の毛玉を防げます。
ブラッシングやブラッシングアイテムについては、別の記事でまとめる予定です。
換毛期にはファーミネーターがおすすめ!
長毛種、短毛種共通して、換毛期などアンダーコート(表面の毛の下に生えているより細いふわふわの毛)をしっかり取ってあげたい時は、ファーミネーターがおすすめです。
ファーミネーターは猫用のブラシなのですが、実際は手動のバリカンに近い働きをしてくれます。とはいえ、健康な毛を切ることはありません。抜け毛の90%を取り除いてくれるためとにかく普通のブラシに比べて毛が取れる量が桁違いに多いです。
こちらは、換毛期にファーミネータを使ってブラッシングを5分程度行った猫さん。
短毛種の猫さんですが、あっという間に大量の毛が取れました。
換毛期は特にですが、これだけの毛が取れるわけですから、ブラッシングをしなければ、床に落ちて埃になるか、舐めて飲み込んでしまうことになります。
ブラッシングしてあげないと・・・って思いますよね。
ファーミネータを使うと、本当に驚くほどの毛が取れるので、毛玉対策には有効です。
ただしファーミネータには模造品も多く出回っているので、模造品の場合は製品の質が落ちている可能性あるため、猫の皮膚に傷をつけかねません。ファーミネーターを購入するときは必ず正規品かどうかをチェックしてくださいね。
上記のリンクは正規品のファーミネーターです。種類が長毛種用の小型猫用Sサイズですが、ファーミネーターには短毛種用やサイズもS、Lとありますのでお家の猫にあったタイプを選んでくださいね。
毛玉対策の猫草
猫のために猫草を用意しているご家族も多いと思いますが、猫草は猫が毛玉を上手に吐くために役立ちます。
猫草は燕麦(オーツ・カラスムギ)などのイネ科の若葉が花屋さん、ホームセンター、ペットショップなどで販売されています。(猫草の価格帯は大体200円前後)
猫草は好んで食べる猫とそうではない猫がいますが、好んで猫草を食べる場合、以下のような効果があります。
2.胃腸を適度に刺激して調子を整える
3.ビタミン摂取
4.おやつ代わり
毛玉を飲み込んだ猫が猫草を食べた場合、ツンツン尖った猫草がお腹の中を刺激して、毛玉と一緒に猫草を吐きだします。
猫草を吐いている姿見て、身体に悪いものなのかな?と思ってしまうご家族もいるようですが、猫草と毛玉を一緒に吐くのは猫にとっては習性の一つです。
その他、量は少ないものの、猫草のビタミンや食物繊維が猫の体調管理に役立ったり、猫草の食感が好きな猫にとっては、おやつ代わりの嗜好品にもなります。
おすすめの猫草や効果についてもまた別の記事でまとめる予定です。
猫の毛玉対策用フード
猫の毛玉対策については、食事で対応することも可能です。
大手キャットメーカーから毛玉対策用のキャットフードが販売されていますので、毛玉が気になる猫さんには、今の食事に毛玉対策フードをブレンドしてあげるのもおすすめです。
一気にすべてのフードを変えるのはあまりお勧めしませんので、まずは毛玉対策キャットフードを今のご飯に混ぜてあげることからスタートしてみてくださいね。猫の毛玉対策キャットフードには、大抵「毛玉ケア」「ヘアボールケア」といった表示が書かれています。
毛玉対策キャットフードは、食物繊維が多めだったり、猫の皮脂、被毛や腸内環境の健康に配慮した成分になっていることが多いです。
例えば以下のようなブランドから発売されています。
ニュートロニュートロ ナチュラルチョイス 毛玉トータルケア アダルト チキン
ヒルズサイエンス・ダイエット キャットフード ヘアボールコントロール
※毛玉ケアキャットフードの一部です。
猫の毛玉用サプリメントで毛玉対策
また、猫の毛玉を吐きだしやすくするサプリメントもあります。
特に有名なのが「ラキサトーン」というペースト状のもので、舐めさせることで便によって毛玉を排出しやすくしてくれます。
猫によって好みがあるのですが、自分からペロペロ舐める猫もいれば、積極的には舐めない猫、全く受け付けない猫もいます。
自分からは舐めない猫の場合は、猫の鼻さきや手にペタッとくっつけてあげると仕方なく舐める猫が多いです。ただし、全く受け付けない猫もいるため、まずはお試しに1本使ってみることをお勧めします。
大きい毛玉の塊ができてしまったら
それでも、猫の身体に大きな毛玉の塊ができてしまったときは、猫自身のグルーミングでは毛玉を取ることは難しいので、ご家族が取ってあげる必要があります。
猫の身体にできてしまった毛玉の塊を取るにはハサミで切り取るかバリカンで刈ってあげるかになりますが、大きな塊が一つできている程度だとハサミで切り取ることができます。
身体全体に鎧や鱗のように毛玉の塊がびっしりできている場合は、ハサミでは時間がかかる上、猫の身体に傷をつけてしまう可能性がありますので、バリカンで刈ってあげる方がおすすめです。
ただし、ハサミやバリカンを使う場合は、猫の安全に十分配慮し、暴れたり極度に嫌がるようであれば、獣医さんやトリマーさんにお願いしましょう。
一部にできている毛玉をハサミでの取り方
猫の身体にできた毛玉の塊が少なく、猫が大人しくしてくれているようであれば、ハサミで切って毛玉を取り除いてあげます。
ハサミで切る前に、なるべく毛玉をコームなどでほぐして柔らかくしてあげます。毛玉部分の大きさにもよりますが、塊の部分に少し縦横にハサミを入れて少しでも毛玉をほぐします。
猫の皮膚を気づつけない様に、毛の根本側を持った手(はさみを持つ手と反対側)で皮膚にハサミが当たらないようにガードしつつ、毛玉部分を切り取ってあげましょう。
身体全体に広がる毛玉をバリカンで刈る取り方
身体全体に鱗や鎧のように広がってしまった場合の毛玉はペット用のバリカンで刈るのがおすすめです。
毛玉部分はトリマーさんのようにきれいに刈ることはなかなか難しいのですが、毛玉を取ることは比較的簡単にできますし、ハサミよりも猫の皮膚を傷つける可能性が低いです。
また長毛種の場合は、毛玉の処理が終わった後でも、日常的に肉球からはみ出てくる毛を刈ってあげると歩く際に滑るのを防止できますし、お尻周りの毛を刈ってあげると、うんちなどで汚れるのを防げます。
値段も3,000円前後で比較的使いやすいものもあるため、毛玉ができやすい猫や長毛の猫はペット用のバリカンを一つ持っていても損はないかもしれません。
Pateker® 充電式コードレス グルーミングバリカン ¥ 2,889 Amazonで検索 |
管理人が身体に頑固な毛玉ができてしまった猫の相談を受けた際に利用しているのが、上記のPateker® 充電式コードレスバリカンです。
充電式でコードがないため、手軽に使え、細い猫の毛もしっかり刈れます。
こちらの写真が、上記のバリカンで毛玉部分を刈った跡。(写真では刈った部分の下もまだ毛玉がたくさんついているのがわかります。)
管理人はトリマーではないため、トリマーさんのようにきれいには難しいのですが、毛玉をしっかり取ることが可能です。
毛玉が全体にできていると身体に添うように滑らかに刈ることはできないのですが、毛玉の塊を一つ一つ刈って綺麗にしてあげることは素人でも十分可能なバリカンです。
上記で使ったバリカンの使用感は別記事でも書いています。
参考記事犬猫ペット用バリカン、Pateker® 充電式コードレスグルーミングバリカンの使い心地
猫の身体の毛玉を動物病院やトリミングサロンで刈ってもらう場合の費用目安
猫をトリミングサロンや獣医さんにお願いした場合、猫種(短毛か長毛かなど)にもよりますが、5,000円~10,000円で基本のトリミングを受けれるサロンが多いようです。しかし毛玉ができてしまっている猫の場合は毛玉を取る分時間と手間がかかってしまいます。
そのため、毛玉を取る場合は10分ごとに追加料金を設定しているお店が多いようです。
10分500円~1,000円程度が目安ですが、あまりに毛玉の状態がひどい場合は、時間も余計にかかってしまいますので、トータル2万~3万円かかる場合もあります。
毛玉ができてしまって、サロンや獣医さんにお見せする、相談するのも恥ずかしい・・・怒られそう・・・という気持ちもあるかもしれませんが、まずは毛玉料金について相談してみることをおすすめします^^。