アニマルホーダーって何?多頭飼育崩壊問題を考える

アニマルホーダー
「アニマルホーダー(hoarder)」という言葉ご存じですか?
hoarder(ホーダー)=ため込む人の意味。

特に猫の飼育者の中は「アニマルホーダー」になりやすい方または、アニマルホーダーになってしまっている方がいらっしゃいます。
猫の多頭飼育崩壊などと一緒に出てくることが多い「アニマルホーダー」という言葉、自分の生活環境や経済力のキャパシティを大幅に超えて犬や猫などの動物を飼ってしまう人のことを意味します。

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アニマルホーダーの定義

アニマルホーダーの定義はアニマルウェルフェア推進ネットワークによると以下のように定義されています。

  • 管理可能な限度を超えた動物を飼育(収集)している。(善意のレスキュー活動を名乗り、シェルターと称して動物を抱え込むケースも多い)
  • 最低限の給餌や衛生面での配慮、居住スペース、獣医療等の提供ができない。
  • 状況の悪化に対する危機感が希薄で、動物を飼い続け、増やすことに執着する。
  • 過剰多頭飼育が、動物だけでなく、本人および周囲の人間にも深刻な健康被害を及ぼしていることを認識できない。

自家繁殖を繰り返す飼育者はもちろんですが、保護活動と銘打って実際は十分なケアができない環境で次々と猫を保護し、劣悪な環境になっている場合もあります。

特に動物保護や動物愛護の名目のアニマルホーダーは、その劣悪な環境を指摘された場合などは、保護している猫や犬を猫質・犬質(人質の動物版)のように盾として自身の正当性を主張するため解決が非常に難しくなることも多々起きています。

きちんとした動物保護団体とアニマルホーダーを見分けるのは外部からは困難ですが、明らかにキャパシティを超えた数を保護していたり、保護環境の一部のみしか見せない、スタッフやボランティアさんが次々に変わっているような団体は、しっかりを内部事情を見極める必要があります。

アニマルホーダーの4つのタイプ

アメリカのアニマルホーディング研究評議会(Hoarding of Animals Research Consortium - HARC)によるとアニマルホーダーは以下のようなタイプに分けられるようです。

【過剰な世話タイプ】
このタイプは、動物だけが唯一の話し相手という、多くは社会からやや孤立している状態の人。
はじめは何匹かの動物を世話するだけなのですが、繁殖のコントロールなしという状態で飼い続けるうちに、動物の数があっという間に増え
はじめ、また、自分自身が高齢であったり、病気になったりすることで、動物の世話どころか、不衛生な状況を、自分で認識することもでき
ず、加えて相談できる人もなく・・・結局どうしようもない状態に陥ってしまうというタイプです。
【動物救助者タイプ】
このタイプのアニマルホーダーは、社会から孤立しているわけではないのですが、動物を救うことが自分の使命であると頑なに信じ、一匹で
も多くの動物を救おうと活動します。
自ら積極的に不幸と思われる動物を集め、結局、その数が増え続けることにより、スペース、食餌、衛生状態、ケアや医療措置において適し
た環境での飼育が困難になってきます。
【ブリーダータイプ】
このタイプは、犬、猫などをショーに出すことや、売買することを目的で繁殖させるのですが、思うように売れなかったりすることで、
いつのまにかコントロールを失ってしまうというタイプです。
【搾取者タイプ】
このタイプは、自分のエゴだけで、愛情もないのに(物を衝動買いするように)好き勝ってにたくさんの動物を飼い、ケアや医療措置におい
てもほったらかしです。
それに対して何の罪悪感もなく、自信のある態度で平気でうそをつき、社会的にはなんら問題なく生活していたりするので、発見されにくい
厄介なタイプと言えるでしょう。

参考文献
Deininger E.. (2009) Animal Hoarding. Angewandte Ethologie DVG, April 2009, München.

アニマルホーダーの方への対処法

アニマルホーダーは、強迫神経症、依存症、収集癖などの精神疾患があると言われ、精神医学的な「心のケア」が必要です。
しかし、日本ではアニマルホーダーという言葉自体も認知度が低く、むしろ動物のために人生を全て捧げている聖人の様な人と見られていることも多くあります。

非常に難しい問題ですが、多くのアニマルホーダーの方は自身の異常に気が付いていないことが多いです。

そのため、まずは自身の状況の異常さを理解してもらい、アニマルホーダーは精神疾患の一つであるということを伝えることが重要です。とはいえその認知ができないことが一番問題ですので、動物愛護センター、福祉、警察、消防、裁判所などの行政機関のほかに、 獣医師、精神科医、動物愛護団体、ボランティア、家族、友人など、様々な関係団体や個人が連携してアニマルホーダーの方の治療とホールディングされてしまた犬・猫の保護を行う必要があります。

かなり根深い問題ですが、多くの人がアニマルホーダーの問題を知ることも解決の一助になると感じています。

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2019-06-01 | Posted in 保護猫活動Comments Closed